運動療法推進機構
健康フロンティア戦略について(平成16年5月19日 与党幹事長・政調会長会議)


 ○国は現在、国民の健康づくり政策として「健康日本21」を推進しています。高齢者介護の急増をうけ、
  政府はさらに重点的に健康づくり政策を強化するため、今般「健康フロンティア戦略」を策定し具体化を
  図る方針です。
T戦略の趣旨
   わが国は超高齢化社会への道を歩みつつあり、10年後の平成27年(2015年)には高齢者数が3300万人に達することが予測されている。その中で、わが国が今後目指すべき方向は、単なる長寿ではなく、国民一人ひとりが生涯にわたり元気で活動的に生活できる「明るく活力ある社会」の構築である。
  本戦略は、こうした趣旨に基づき、国民の「健康寿命(健康で自立して暮らすことができる期間)」を伸ばすことを基本目標に置き、「生活習慣病対策の推進」と「介護予防の推進」の2つのアプローチにより政策を展開するものである。

<戦略の実施期間>
平成17(2005)年から平成26(2014)年までの10年間

U.戦略の目標
  生活習慣病対策と介護予防の推進による成果について数値目標を設定し、その達成を図ることにより、健康寿命を2年程度伸ばすことを目指す。

(1) 疾病の罹患と死亡を減らす「生活習慣病対策の推進」
    がん対策…5年生存率を20%改善
    心疾患対策…死亡率を25%改善
    脳卒中対策…死亡率を25%改善
    糖尿病対策…発生率を20%改善
(2) 要介護になることを防ぐ「介護予防の推進」
   要介護者の減少…「7人に1人」を「10人に1人」へ

V.戦略の視点

Uに示した目標を達成するため次の視点に立った政策を展開する。
    (1)国民の不安に応える「的を絞った政策」
      「健康長寿」は国民の最も関心の高い事項であり、国民が抱く不安に対応した「的を絞った政策」を
    重点的に展開する。

    (2)国民の生活習慣や意識の「変化に即応した政策」
     喫煙や食習慣などの生活習慣の影響から、疾病構造が変化している状況を踏まえ、効果の高い
    政策を戦略的に展開する。

    (3)高齢期を元気に過ごすという「新たな課題に挑戦する政策」
      高齢になっても、できる限り元気に過ごすという国民共通の願いを実現するため、介護予防を強力に
    推進する。

    (4)自助を基本としつつ、地域で支え合う「自助と共助の政策」
     「自らの健康は自らが守る」ことを基本とし、個人の自発的な取組を重視しつつ、地域で支え合うことを
    支援する。

    (5)健康寿命を伸ばす「科学技術の振興を図る政策」
      最新技術を医療・介護現場に積極的に取り入れ、効果(健康寿命の延伸)につながる効率の良い
    投資(科学技術の振興)を重視した政策を展開する。

W.政策の内容

<政策の柱>
国民各層を対象に、それぞれについて重要性の高い政策を重点的に展開する。

     ○ 働き盛り層:『働き盛りの安心プラン』
     ○ 女性層:『女性のがん緊急対策』
     ○ 高齢者層:『介護予防の10ヵ年戦略』
     ○『健康寿命を伸ばす科学技術の振興』

(1)『働き盛りの健康安心プラン』
<ねらい>
     働き盛り層を主な対象として「3大死因(がん、心疾患、脳卒中)」と「糖尿病」について食育を含む
   総合的予防対策を、地域と職域を通じて推進するとともに、「心の健康問題(メンタルヘルス)」に
   積極的に取り組む。

<具体的な政策>

@個人の行う「健康づくり」の支援

    ○「e−ヘルス」の推進
     ・ITを活用した「正しい情報の」発信、「自己学習」機会の提供、専門家による相談・支援

    ○健康づくりの「場」と「機会」の提供
     ・「ウォーキングロード」、「ヘルシーメニュー」
     ・年次有給休暇の取得促進、健康休暇の普及

    ○職場における個人の健康作りの支援

    ○身近に地域・職域で受けられる専門相談・指導など
     ・関係者の連携による安心のネットワーク


A検診データに基づく継続的な健康指導

    ○生活習慣病予防プログラムの開発・普及(地域と職場の連携)

    ○地域と職域を通じた、生涯にわたる検診データの継続的な活用


B迅速な救命救急と専門診断・治療の確保

    ○「時間の壁」に立ち向かう国民の救命参加
     ・国民による「除細動」の啓発普及、講習体制の整備

    ○球急医療体制の整備
     ・CCU(心疾患集中治療室)、SCU(脳卒中集中治療室)の整備

    ○がん医療の「均てん化」
     ・全国に地域がん診療拠点病院を整備

    ○ITを活用した遠隔医療の普及

    ○職場におけるメンタルヘルス対策の推進
     ・産業医活動への支援

    ○心の健康問題を抱えた人に対する早期発見・治療の実施
     ・地域・職域における心の健康に関する正しい知識の普及啓発の推進
     ・救急医療体制の整備
     ・心の健康問題を抱えた人のサインに気づき適切に危機介入できる専門家等の養成


C身近な地域で安心リハビリ

    ○脳卒中・心筋梗塞等の急性期リハビリテーションの推進

    ○切れ目ないリハビリテーションの推進
     ・医療と介護のリハビリテーションの連携強化

    ○心の健康問題を抱えた人の早期社会復帰を図るリハビリテーションの推進

(2)『女性のがん緊急対策』
<ねらい>
      女性のがん罹患率の第一位である「乳がん」と発症年齢が低年齢化している「子宮がん」について
    緊急対策を講じるとともに、女性の生涯を通じた健康支援対策を推進する。
<具体的な政策>
@「女性のがん」への挑戦

    ○乳がん対策
     ・マンモグラフィの緊急整備

    ○子宮がん対策
     ・「20歳からの子宮がん検診」などの普及
     ・予防のための意識啓発の推進

    ○安心で利用しやすい検診体制
     ・専門医や専門技師の育成と養成、休日夜間の検診体制の整備
A女性の生涯を通じた健康支援

    ○「女性にやさしい医療」の推進
     ・女性専門外来の設置促進
     ・国立生育医療センターを中核とした情報提供



(3)『介護予防の10ヶ年戦略』
<ねらい>
      高齢者が要介護となる主な原因である「生活機能低下」「骨折」や「脳卒中」「痴呆」をできる限り
   防ぐために、効果的な介護予防対策を推進する。
<具体的な政策>
@家庭や地域で気軽に介護予防

    ○気軽に利用できる介護予防の推進
     ・介護予防設備等の緊急的な整備
     ・生活圏域ごとの介護予防を含めたサービス拠点の計画的整備
     ・生涯スポーツ、文化活動を通じた介護予防の推進
     ・地域資源の積極的な活用

    ○介護保険制度の見直し
    ・新しい介護予防サービス体系の導入


A効果的な介護予防プログラムの開発・普及

    ○介護四部プログラムの開発・普及体制の確立
     ・「介護予防研究・研修センター(仮称)」の設置

    ○家庭や地域での介護予防の取り組みへの支援
     ・家庭での取り組みや地域における支え合い活動の支援


B骨折予防対策の推進

    ○地域における「転倒骨折予防教室」の普及

    ○「骨粗鬆症予防」の推進


C脳卒中対策の推進

    ○救急医療体制の整備(SCUの整備)

    ○切れ目のないリハビリテーションの推進・医療と介護のリハビリテーションの連携強化


D地域で支える「痴呆ケア」

    ○地域における痴呆サポート体制の整備
     ・地域での相談・早期診断・支援サービスの推進
     ・初期診療の標準化と専門機関との連携体制の強化

    ○痴呆ケアの人材育成
     ・痴呆ケア研究・研修の推進
     ・かかりつけ医と保健師における痴呆ケア研修の推進



(4)『健康寿命を伸ばす科学技術の振興』
<ねらい>
      健康寿命を伸ばすことに資する科学技術を振興する観点から、基盤的技術や最先端技術の
   研究開発を推進するとともに、医療や介護の現場を支える各種技術の開発普及を図る。
<具体的な政策>
@基盤的技術と最先端技術の研究開発

    ○老化及び老化抑制機構の解明(痴呆を含む)

    ○ゲノム科学、たんぱく質科学、ナノテクノロジーの推進


A医療現場を支える技術の開発普及

    ○がん、心疾患、脳卒中、糖尿病の画期的な予防・診断・治療法の開発

    ○痴呆、骨折の画期的な予防・診断・治療法の開発

    ○再生医用技術等の研究開発のさらなる推進

    ○がん患者等のQOLの向上(生活機能を温存する治療法の開発等)

    ○専門医等の育成、医療安全の推進、診療ガイドラインの一般医への普及


B介護現場を支える技術の開発普及

    ○痴呆性高齢者のリハビリテーション技術の確立

    ○介護支援ロボットの開発

    ○身体機能を補助・代替する機器の開発


C国民による自己選択を可能とする評価と公表

    ○技術評価と政策評価の推進




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