運動療法推進機構
Q & A

事務局へのお問い合わせ並びにセミナー等でのご質問にお答え致します。
意見の一端としてご参考にしてください。
Q1. 運動療法施設にはどの様なものがありますか?
A1. 疾病予防・運動療法に関する施設制度には医療法42条施設だけではなく、次表の様に<1>医療法42条施設、<2>厚生労働省指定運動療法施設、 <3>厚生労働省指定THPサービス機関の3種類が存在します。
この中で42条施設は法的裏付を持つ施設ですが、<2>、<3>の施設は法的裏付けは持ちませんが、省令によって定められています。
それぞれの内容は次表に記します。

○疾病予防・運動療法に関する施設には次の3つのものがある。
  制度 発足 特徴
1 医療法
医療法第42条施設
平成4年7月1日 医療の監視下に於いて、運動療法を行う者及び疾病予防の必然性の高い者を対象として運動指導等を行うもの。
2 厚生労働省
指定運動療法施設
昭和63年11月29日
平成4年7月6日
生活習慣病に罹患したが、医学的処置及び容体が安定期にある者を対象として、医療機関との提携の下に運動指導等を行うもの。
3 中災防
労働者健康保持増進サービス機関
平成4年6月1日 企業に於いて、健診結果に基づいて「運動」「栄養」「休養」の指導の必要性の高い者に、各分野の専門家が指導を行うもの。


Q2. 医療法人42条施設の条件はどの様なものですか?
A2. 医療法42条施設は医療法人に認められた付帯事業の1つとして定められたもので、定款変更(付加)によって開設されます。
制度の概要と条文は次の通りです。
[ 設立の経緯 ]
○我が国に於ける高齢化の一層の進行に伴い、ますます健康志向、自立志向が強まりつつあるが、とりわけ人生を生き生きと実りあるものとするため、 医療に於いても、「運動」等に主眼を置いた積極的な治療・予防の活動が強化されつつある。
厚生労働省としても、21世紀社会が活力ある長寿社会となるよう、既に昭和63年から地域に於ける健康づくり促進のため「アクティブ80ヘルスプラン(第2次国民健康づくり対策)」を推進して来た。 ここに於いて、専門人材(健康運動指導士、健康運動実践指導者)の育成や専門施設(健康増進施設、指定運動療法施設)の認定を行って来ているが、これらの流れを受けて医療法人に於いても 積極的に「疾病予防・運動療法活動」を実施出来るよう、付帯事業としての位置付けを与えることにより、規定したのが、このいわゆる「医療法第42条施設」である。

[ 主要規定について ]
○医療法人の付帯事業については、医療法第42条に規定するが、その中でも疾病予防・運動療法に関する事業については、「第5号」「第6号」(平成4年7月1日法律第89号)に定められている。 そして、この定めの運用については、「医療法第42条第5号及び第6号に規定する施設の職員、設備及び運営方法に関する基準(平成4年7月1日厚生省告示第186号)」、 さらに「医療施設と疾病予防施設等との合築について(平成7年4月26日健政発第390号厚生省健康政策局長通知)」に示されている。



◎医療法(抄)
第42条  医療法人は、その開設する病院、診療所又は老人保健施設の業務に支障のない限り、定款又は寄附行為の定めるところにより、次に掲げる業務の全部又は一部を行うことができる。
五  疾病予防のために有酸素運動(継続的に酸素を摂取して全身持久力に関する生理機能の維持又は回復のために行う身体の運動をいう。次号において同じ。)を行わせる施設であって、 診療所が附置され、かつ、その職員、設備及び運営方法が厚生大臣の定める基準に適合するものの設置
六  疾病予防のために温泉を利用させる施設であって、有酸素運動を行う場所を有し、かつ、その職員、設備及び運営方法が厚生大臣の定める基準に適合するものの設置

◎医療法第42条第5号及び第6号に規定する施設の職員、設備及び運営方法に関する基準
第1条  医療法(以下「法」という。)第42条第5号に規定する厚生大臣の定める基準は、次のとおりとする。
一  職員については、次に掲げる者を配置すること。
健康運動指導士その他これに準ずる能力を有する者
二  設備については、次に掲げるものを有すること。
 イ  トレッドミル、自転車エルゴメーターその他の有酸素運動を行わせるための設備
 ロ  筋力トレーニングその他の補強運動を行わせるための設備
 ハ  背筋力計、肺活量測定用具その他の体力を測定するための機器
 二  最大酸素摂取量を測定するための機器
 ホ  応急の手当を行うための設備
三  運営方法については、次に掲げる要件を満たすこと。
 イ  成人病その他の疾病にかかっている者及び血圧の高い者、高齢者その他の疾病予防の必要性が高い者に対し、適切な保健指導及び運動指導を行う施設として運営されること。
 ロ  附置される診療所は、施設の利用者に対する医学的な管理を適切に行えるよう運営されること。
 ハ  会員等の施設の継続的な利用者に対して健康診断、保健指導及び運動指導を実施すること。
 二  会員等の施設の継続的な利用者に対して健康記録カードを作成し、これを適切に保存、管理すること。
第2条  法第42条第6号に規定する厚生大臣の定める基準は、次のとおりとする。
一  職員については、次に掲げる者を配置すること。
 イ  保健婦、助産婦又は看護婦
 ロ  疾病予防のための入浴指導を適切に行う能力を有する者
 ハ  健康運動指導士その他これに準ずる能力を有する者
二  設備については、次に掲げるものを有すること。
 イ  保健指導を行うための設備
 ロ  全身浴を行う浴槽、気泡浴を行う浴槽その他の入浴を適切に行わせるための設備
 ハ  自転車エルゴメーターその他の有酸素運動を行うための設備及び補強運動を行うための設備
 二  背筋力計、肺活量測定用具その他の体力を測定するための機器
 ホ  最大酸素摂取量を測定するための機器
 ヘ  応急の手当を行うための設備
三  運営方法については、次に掲げる要件を満たすこと。
 イ  成人病その他の疾病にかかっている者及び血圧の高い者、高齢者その他の疾病予防の必要性が高い者に対し、適切な保健指導及び運動指導を行う施設として運営されること。
 ロ  施設の利用者に対する健康診断、温泉療法の処方その他の適切な医学的管理を行わせるため、適当な医療機関と提携すること。
 ハ  会員等の施設の継続的な利用者に対して健康診断、保健指導及び運動指導を実施すること。
 二  会員等の施設の継続的な利用者に対して健康記録カードを作成し、これを適切に保存、管理すること。

◎医療施設と疾病予防施設等との合築について
1.  医療施設と疾病予防施設等の共用について
(1)  同一開設者が、病院又は診療所と疾病予防施設を併設する場合であって、以下の要件をすべて満たすときは、 病院又は診療所の施設(出入り口、廊下、便所、待合室等を含む。)を共用して差し支えない。
 ア  当該疾病予防施設が医療法第42条第5号又は第6号に定める基準に適合するものであること。
 イ  疾病予防施設としての専用部分として、病院又は診療所とは明確に区別された事務室を設けること。
   但し、患者に混乱を生じないようにするため、病院又は診療所の業務に支障のない場所を選定すること。
 ウ  機能訓練室を共用する場合には、病院又は診療所の患者に対する治療その他のサービスに支障がないものであること。
   なお、共用に当たっては、利用計画等を提出させるなどにより、十分に精査すること。
 エ  病院又は診療所と疾病予防施設はそれぞれ別個の事業として、会計、組織、人員等の区分を明確にし、 病院又は診療所の従事者が疾病予防施設の従事者を兼ねることは、原則として認められないものであること。
(2)  これに伴い、病院又は診療所と疾病予防施設の大幅な共用が認められることとなるが、 既設の病院又は診療所内に疾病予防施設としての専用部分を設置する場合にあっては、医療法に基づく変更の手続きを行い、病院又は診療所の一部を廃止することとなるので留意されたい。
(3)  なお、(老人)訪問介護ステーション及び老人介護支援センターについても、これまで、 病院又は診療所の施設(出入り口、廊下、便所等を含む。)との共用を認めてきたところであるが、上記(1)イ、エ、(2)に準じて取り扱われたい。
2.  その他
  第418号通知第三の1の(1)の1は削除する。


Q3. 運動療法の施設運営を希望しておりますが経営的には大丈夫でしょうか?
A3. 情報誌では運動療法の需要は伸び、追い風的な表現が多い。確かに健康日本21、生活習慣病対策、指導管理料等の施策の中で今後需要は伸びて行くであろう。 しかしながら疾病治療なのか、疾病予防なのか、健康づくりなのか、健康管理なのか、目的をしっかり捉えてすすむ必要があると思われる。目的が不鮮明な今日、医療組織だけでなく民間産業も参入を考えている。 経営を考えた場合規模等の投下資本、人材等によりその後の展開が異なる。民間のように2〜3年でリニュアルしたり、やめるわけには行かない。
大規模、中規模、小規模として現在のかかりつけ医機能を確保するという考え方であれば、それなりのやりようがあるのではないか。単体での展開は多少無理があり、大黒字は考えられない。
42条施設は、かかりつけ医機能の充実が大きな目的と考えたい。現在の無床診療所でもできうる可能性が大であり、医療界での診診連携、病診連携の様なネットワークシステムも推進機構としては支援していきたいと思っております。


Q4. 現場で運動指導をしておりますが、医師の指示が原則となっております。どのようにしておりますか?
A4. どのような現場で運動指導をしているかにより多少考え方が異なります。
運動療法を含む生活習慣病対策が第一次予防、第二次予防、第三次予防または保健系サービス、医療系サービスでの位置づけ、役割分担として何を目的としているかにより、医師の指示の仕方、内容が異なると思います。場合によっては無いこともあるでしょう。
現在、42条施設では運動指導士その他これに準ずる能力を有する者の配置を必要とし、付置診療所が適切な医学的管理を行っているとある。 運動型健康増進施設は医療機関と適切な提携関係を有していることとある。指定運動療法施設は提携医療機関の担当医が健康スポーツ医(日本医師会)であること等とある。その他医療機関が直接経営している施設もある。
これらの現場は何らかの形で医療との接点があるが、以前調査した時、現場では医師からの指示、管理そして医師との連携が熱心なところはそれなりの関係にあるが、多くは希薄であった。
提携医療機関、かかりつけ医との関係を強くしましょう。対象者のかかりつけ医とどのように連携を取るかですが、実際は困難を感じます。しかしながら的確な運動指導はご本人の自己責任以上に必要であり、 地域的展開での運動療法・運動処方に対する啓発活動が今後なお必要となると思います。現場では医師の指示を待つのではなく、医師の指示が受けやすいように、又は医師に相談できるような環境づくりが必要でしょう。 あなた様が積極的に動く事が必要です、又は対象者が自分のかかりつけ医に積極的に相談されるよう、啓発することも必要です。その結果としての運動指導も考えられます。