我々は運動を中心とした疾病予防施設の発展のために日本運動療法推進機構を設立して発足したのでご挨拶申し上げる。
本格的少子・高齢社会の到来や医学・医療の進歩は国民の健康についての意識にも大きな変化をもたらし、健やかに生活し、
健やかに老いる社会の実現が求められるようになった。
欧米諸国では1960年代から発展してきた運動・スポーツを中心とした健康作り運動は、その後、我が国においても国民に対する疾病予防策からその導入が図られ、
アクティブ80ヘルスプランや労働者の高齢化、労働生涯の延長しり中で、労働安全衛生法を中心としたTHP等の健康づくり事業が行われ、更には医療法42条で医療法人の疾病予防施設の開設を明記した。
日本医師会では1997年少子・高齢社会の到来、あるいは疾病構造の変化に対応すべく医療構造改革構想を発表した。
1.生涯にわたる保健事業の体系化
2.医療供給体制の再構築
3.医療保険制度の改革 である。
その最右翼に生涯にわたる保健事業の体系化が位置付けられている。
母子保険から老人保健に至るまでの健康増進、疾病予防等の保健事業を一貫して行う体制作りであり、その基本理念は健康投資である。
1992年(平成4年)の医療法改正では医療の内容として単に治療だけではなく、疾病の予防及びリハビリテーションを含めた良質かつ適切なものでなければ成らないと明記された。
此のように医療の視点の拡大に伴って医療機関に求められるものは、単に疾病の治療のみならず、健康資本を増大させる健康増資に関するサービスをも包含した総合的な健康増進サービス提供の場として役割を持つとともに、
健康に関する情報発信基地としての役割である。
更に社会構造の変化に伴い、健康スポーツの地域での活動については、健康スポーツが持つ本来の使命の確認と、地域に密着した健康増進活動システムの構築が必要となってきた。
これらの健康増進、疾病予防の事業を定着、推進して行くには健康増進事業における医師の適正な評価が必要である。
健康増進事業において成果が上がらないのは医師や医療機関の使命が明確に位置付けられていないことがある。
疾病予防のための運動療法は、予防効果とともに、結果的にQOLの向上につながることを評価すべきである。
運動療法指導療法管理科の分離など、医師が貢献しやすい制度に改善して行くことが必要である。また予防医療に積極的に取り組む医療機関や医師に対する診療報酬上の評価が重要である。
これらの評価が適正になされれば、運動療法推進機関の定着、拡大が期待され、国民の疾病予防・健康増進を図ることが出来るであろう。 |